赤の女王

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赤の女王仮説

ここでは人間の「性」を取り上げます。
実は「性の目的」「何故性が有るか」と言う問題は、中々一筋縄ではいかない、生物学の間でも大きな謎で有るようです。
「赤の女王仮説」とは、その問題に対する、今のところ最も有力な解答です。
赤の女王」とはルイス・キャロルの小説『鏡の国のアリス』に登場する人物です。
「その場にとどまるためには、全力で走り続けなければならない」と言う彼女の台詞がアナロジーとなって、「赤の女王仮説」が生まれました。
と言うことで、ここでのタイトルは「赤の女王」です。

人間の配偶関係

人間の配偶関係は、全体として「若干の婚外Sex(浮気)を含む、ゆるい一雌一雄」だと言ってよさそうです。基本は一夫一妻の夫婦が単位で、夫も共同して子育てに当たります。しかし実はこう云う関係は、哺乳類の中でも珍しいのです。
テナガザルは厳格な一夫一妻制だと云うことですが、その他ではイヌ属の一部(例えばオオカミ)に見られる程度で、大半は一時期だけの配偶関係で、オスが子育てに関与する例は殆どありません。

ヒトと一番近縁種であるチンパンジーとボノボは乱婚、ゴリラはハーレムを作ります。どちらもオスの子育ては見られません。
それと比較しての、ヒトの配偶関係を探ることで、人類の進化の過程と現在の人間社会を理解するヒントも得られるでしょう。若しヒトも、ゴリラのようにハーレム型だったり、チンパンジー、ボノボのように乱婚型だったら、今の高度な人間社会は有り得なかった筈です。

一夫一妻(一雄一雌)の由来

チンパンジーなどと分岐する前の共通祖先が、乱婚で有ったかハーレム型で有ったか、確実に分かっている訳ではありません。そもそも共通祖先が何であったか、ハッキリ特定できていない筈ですから(今のところ、プロコンスルが共通祖先として、有力視されている)。
ただ初期人類の化石の知見からして、ホモ・エルガスター(エレクトス)位までは、性的二型(性の違いによる、この場合で言えば、身体の大きさの違い)が、結構顕著だったようですから、おそらくハーレム型だったと思います。

そう云う状態から出発して、共通祖先とも違い、分岐の片割れであるチンパンジー、ボノボとも違う、そして哺乳類全体からしても珍しい、一夫一妻を発達させたのは何故か?
そこにも、直立二足歩行が大きく関わっています。正にホモ・エレクトス(立ちあがったヒト)の時代に、性的二型が緩和されてきます。

性は生

生物を定義するなら「自己複製するタンパク質」と言って、大きく間違いないでしょう。性はまさに生物にとってのコア概念、自己複製の現場です。
動物の配偶関係も又、その種が置かれた環境の中で、適応度(残した子供の数でカウントされる、その生物個体の繁栄能力)最大化に特化する形で、システム化される筈です。
具体的には、メスの生息密度を規定する食糧事情を主な要因として、その種独自の様々な要因で決まってくるのでしょう。
人類史の中で起こった出来事に沿って、その辺も考えてみます。